− ストーリーについて −
天国の第324地域で働く、天使のスティーブとガイ。彼らは人類の誕生から働いている天使だ。実際問題、人間は死ぬと、天国か地獄に行くといわれているが、それを調査して、死後の魂を導いている。しかし、3万年ほど働いている彼らにとって、テレビを見ながらの転職話は仕事の合間には欠かせない話題だ。
彼らの調査によると、人間が死ぬ前24時間の行動は、その人の人生を反映しているとの事。決して彼らがその人の人生すべてを調査するというのが面倒くさいからということではない。
今回のケースは、ドラック中毒で死んだジョン。天使たちにとって一番面倒なケースだ。
- 上映時間: 24分40秒&26分(ディレクターカット)
- ジャンル:コメディー
- 視聴制限:ドラッグ吸引シーンなどがありますので、ちいさいお子様をお持ちの保護者の方はお気をつけください。
- 制作開始は2001年12月。制作終了は2003年8月。
−監督から−
この映画を制作しようと思ったことを書くには、ちょっと長い話があります。きっかけは、私の祖父の死でした。その当時はアメリカ留学をはじめて2年の2000年の冬。日本から、私の母方の祖父が他界したという知らせがきたのです。
祖父の容体が悪いということは、だいぶ前から分かっていました。祖父の死に目や葬式には短大の期末テスト期間が重なっていることもあり、いけないことは分かっており、そのときは、「仕方が無い」くらいに思っていたと思います。
一週間後、夢を見ました。私は、どこか地下鉄に乗っていました。何かとてつもない怪物に追われていたように思えます。 そして、その地下鉄がある駅に止まったそのとき、「かっちゃん」と呼ぶ声。(怪物に追われていたので)恐る恐る、地下鉄から外を覗いてみると、死んだ祖父が、薄暗い駅のプラットホームから私を呼んでいました。
「がんばってな。」祖父はそう言い、体の向きを変え、駅員に病院の行き先を聞いていました。(聞こえなかったのですが、夢ですので分かっていました。)そうして、地下鉄は動き出し、祖父は駅の階段を上りだし、私は祖父の姿を見失いました。
不思議な気持ちで目覚めました。何か、すっぽり自分の中から抜けたような気持ちが。死んだ祖父は母方で、母の実家に行ったときに会うくらいで、そんなに交流も深くなく、私の中では小さい存在だったと思っていたのです。
不思議な気持ちのまま、大学へ行く道中。感情よりも先に、なぜか涙がどんどんとあふれ出てきました。不思議な気持ちが、悔しさに変わりました。「祖父は、彼の死後一週間で、太平洋を越えて自分に会いに来てくれた。なのに、自分は『ありがとう』の一言も言えなかったのか」この悔しさは、私は一生忘れないでしょう。
それが、私がこの映画を作るきっかけとなりました。祖父へのレクイレムとして制作しようと決心し、悲しむばかりもなんなので、コメディーにしてみました。祖父が死んだからといって、弔うだけの映画にはしたくなかったからです。
実は、この私と祖父との思い出を書いても、この映画をすでに見た方は疑問に思われるだろうし、これから見られる方も、「ぜんぜん関係ないやん」と思われるかと思います。それが正解です(笑)
この映画のストーリーは、私の祖父の死がきっかけとなりましたが、いろいろな人々とロサンゼルスでの映画制作を通じてまったく違うものに変わりました。これも映画というものは、一人のアーティストが一人でやっていくものではなくて、いろいろな人が、役割分担をして一つの作品として作っていくのだなということが実感できます。
天使役もしているプロデューサーのスティーブは、制作の当初から、私の文法間違いだらけの脚本を直してもらい、しかも、彼自身の性格が、この作中の天使のキャラクターの基となったものです。他にも、撮影監督でありプロデューサーのグレンは、過去にも何作はいっしょに働いたこともあり(正確には働かせてもらった)ロサンゼルスでのインディーズの映画制作の本場を教えてくれた一人です。そのほかにも、無名であるけれども実力のある俳優たち。そして裏で支えてくれたスタッフのみんな。そして、所属していたサンタモニカカレッジ、フィルムクラブのメンバーのみんな。ロサンゼルスで映画を撮り始めて3年目での生まれて初めての英語の映画でしたが、大変楽しみながら作ることができました。
今、私の個人的な思い出から始まり、私たちスタッフの手により「ライフ・アフター」として完成しました。これからは観客である皆様に私たちの死後の世界を吟味していただきたいです。
Katz(上野勝之)
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